「賭け事」




「君が好きだよ。アスラン」

キラから紡がれた言葉にアスランは思わず目を瞠る。
「なっ。」

今のキラはオーブの中でも中心と立っていて、その隣にはラクスが常にいた。
地球とプラントの和平としての象徴だった。
そうでなくても先の大戦からキラとラクスは見ているほうが恥ずかしくなるほど中むつまじかった。
だからこそアスランは諦めた。
キラのそばに幼馴染以上の思いを持って居ることを。
無理やり押さえつけてやっと今があるというのに。
「好きだよアスラン」といわれたら、変な誤解を抱いてしまいそうだ。



「何の冗談だ?」
「はは。友達のだと採ってくれないだけでも十分可能性はあるね。」

良かったよ。と笑うキラはいつものキラに見えた。
昔よく見た「嬉しそうな」笑い方。
アスランが好きな。

「キラ?」
「ほらアスラン次は『ラクスとは?』って聞かなきゃ。」
「…。」
「ほ〜ら。話が進まないじゃんか。」

早く早くと催促している姿は子供のころと変らない。

「…ラクスとは?」

聞きたくてでも聞きたくなかったことをキラの催促によって尋ねる。
これでもしよくない結果だったらちょっとでも可能性を見せられたアスランは立ち直れそうに無かった。

「同士だよ。」
「同士?」

なんて曖昧なという目をアスランはキラに向けた。

「そう。ある意味ライバルかな?」
「ライバル?」
「アスラン争奪戦の。」
「はぁ〜!?」

思わず変な声をアスランは上げる。
その単語の意味は理解できるが、かといって意味が分からなかった。

「あれ?アスランまさかラクスの好意も気づいてなかったの?」
「彼女とは友情の…。」
「君ってホント…。」

鈍感と続きそうな哀れみの目で見られたアスランはいたたまれなかった。

そうはいっても自分はキラしか見ていなかったし、ラクスもそういったアプローチはしてこなかったような…。
でもラクスがルナマリアやメイリンのような行動に出るとは考えられない。
そうだった・・・のか?

鈍感男確定の結論にたどり着いたアスランをキラは楽しげに見ていた。

ラクス…この勝負僕の勝ちみたいだよ。
キラは心の中で笑った。
なんていってもアスランは”僕に似た”カガリを選んだくらいだからね自信はあったけど。
さて、アスランからきちんと聞かなくちゃ。

確信を得るための確定の言葉を。


「ね、アスラン?」
「え、あっ。な、なんだキラ?」

一人思考にふけっていたアスランは呼び戻されて思わずどもる。

「僕の告白に対しての返事は?」
「っ。」

思わず顔が赤くなるアスランにキラは微笑んだ。

「ねぇ?」
「…わかって言ってるだろ。」

こらえ切れてない笑みを浮かべたキラをアスランは恨めしげに睨んだ。
絶対に分かってるはずなのにこいつはっ!!

「うん。多分間違ってないと思うけどそれでも確証がほしいよ。」
「え?」
「君、僕が緊張してること分かってる?」
「緊張?」
「だって僕の勘違いだったら今すぐ死んでも良い位恥ずかしいよ。」

思わず目を逸らした弱気なキラをアスランは少し驚いたように眺め、ついでほほえましく笑った。

・・・可愛い。

ほとんど無意識にアスランはキラを抱きしめた。

「アスラン!?」
「好きだよ。キラ。ずっとずっとずっと前から。」
「っ!!」

予想されていた言葉ではあったが、実際言われるとそれはありえないくらいの破壊力を持っていた。

僕絶対顔赤い!!
アスランの馬鹿!いつもはヘタレなくせに!
こんなときばっかり!


「…キラ、顔赤い。」
アスランは抱きしめていた腕を緩めて距離をとりキラの顔をみるとつぶやいた。
「いわなくていいからっ!!」
その言葉にキラはますます顔を赤くしてうつむく。
その様子がとてもいとおしい。
「可愛い。」
「っっ!!」

なんかさっきまでと立場が逆転してない!?
なんでこんなことに…。

自分が仕掛けているつもりだったのに、いつの間にか自分がやられているという事実にキラは呆然とした。
これが天然タラシのタラシたる所以かとキラはまとまらない頭で考える。
混乱したままふと顔を上げるとアスランと目が合った。
とたんアスランが笑う。

犯罪だその顔!!

思わず顔を逸らすとアスランが訝しげに「どうした?」と聞いてくるがキラはそれどころではなかった。





黒いキラを書こうとしたのになぜかこんなことにただのイチャもの!!
キラアスっぽいけどアスキラのです。

ラクスは世界を愛してるのでその世界の理想のためにキラの手を取ったって言うのが前提なんです(訳分からなくてすみません)
キラが愛されているのが前提しかかけないのでラクVSキラのアスラン争奪戦はありません。





2007/6/15sssより移動・改稿