「声」
「ルナの声ってマユに似てる」
「はぁ?」
ルナマリアは横で机に突っ伏しているシンの突然の言葉に驚いた。
何を言い出すんだこいつは…ドリンクこぼしそうになったじゃない。
休憩中に疲れることを…。と思う気持ちがため息になって表に出る。
「だから、妹のマユに似てるんだって」
そのため息を聞いて、なおも机に突っ伏したままのシンは少し強めに続ける。
「あーはいはいそうですか。あんたはシスコンだもんね」
しかたがないわね。といつものシンの”マユマユ”病を知っているルナマリアは軽くあしらう。
それを聞いたシンが「むかつく」と小さく言った後、
「なんか昔に戻ったみたいで落ち着く」
ぼそりとつぶやかれたシンの本音にルナマリアは目を見開く。
「シン?」
「だからこのまま続けばいいのに。」
なにも変わらずに。このままで。
今の状態が続けばいい。
ルナがいてレイがいてヴィーノがいて・・・皆がいて。
「うん・・そうね。」
シンの言いたいことがなんとなく伝わってルナマリアは頷いた。
誰も死ぬことがなく、このままで…。
本当の戦争なんて知らないままで。
「いい事だけ続けばいいのにね。」
無理なのは承知で。きれいな言葉を言う。
欲しいのは慰めではなく、ただの同意。
「もう無理だけどさ。」
シンは突っ伏していた顔を上げて席を立つ。
「あら、もういいの?休憩」
「ん〜休憩はもうちょっと欲しいけど、あんまり、一緒にいると後からレイににらまれるんだ。」
「なにそれ?」
「そーゆーこと、じゃ先行ってるよ。」
背伸びをして体を伸ばした後、シンはルナマリアのほうを向かずに手を振って出て行く。
「どういうことよ?」
ルナマリアはわけが分からず首をかしげる。
「まぁいいわ、後からレイに聞こう。」
飲み干した空のコップをダストボックスに投げ入れルナマリアはシンたちがいるだろう練習場に向かった。
「あぁ、声が似てるんだったら、今日ぐらい”お兄ちゃん”って言ってあげればよかったかしら」
一年前の6月16日その声が永遠に失われた日。
まだアカデミー時代ということで、なんとなく思いついた。
というか声優ネタです。
そしてなんとなくレイ→ルナなのが…。
あいた。すみません。
2005.4.1
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