「恋―パトリック出会い編―」



だれこの人。・・・

キラは研究室に入るなり堂々と座っている。中年の男性にひるんだ。

「あぁ。邪魔だったかね?」
「あ、いえ。」

思ったよりも紳士的な相手にキラはホッとした。
まぁ身なりもかなりいいみたいだし。
チラリとみると目が合い軽く微笑まれるので、微笑み返した。

「いや、なにクルーゼ君に用があったのだが居ないみたいでね。」
「あぁ教授のお客様でしたか。教授はまだ授業だとおもいますけど。」
「そうなのか。授業・・彼はいつも研究室に篭っているイメージがあるが・・・。」

確かに授業じゃないときはパソコンとにらめっこしている気がする。
まぁ自分が言えたことではないが。

「そういえば君はもしかし・・・。」
「ヤマト君。きてたのか。」

紳士が何か話しかけようとしていたときに丁度教授が帰ってきた。

「あ、教授。」
「クルーゼ君。」
同時に呼ばれクルーゼは戸惑ったようだが紳士の方を見てにやりと笑う。
「おやこれは。貴方が来ていたとは。」
「当然だ。」
「それはそれは・・・。」

なにやら悪代官と悪徳商人のようでキラは居心地が悪い。

「あぁヤマト君こちらは・・。」
それを察したのかクルーゼが紹介してくれる。
「パトリックと呼んでくれて構わん。」
「え?」
いきなりファーストネームで呼べと言われてキラは困惑する。
「おじさんとつけてもいい。」
「は?」
さらに良く分からない事を言われる。
どうすればいいのか分からなくなってキラはクルーゼに助けを求めた。
「まったく貴方は・・・。」
あきれたように言う。
「ヤマト君。この・・・方はザフトの上のほうの関係者でね。知ってるかなザフト。」
「え、えぇITの分野で業績のいい会社の一つですよね。」

その上のほうの関係者・・・。
確かに身なりはそれらしいが・・・。

「君に仕事を頼みたいのだ。」
「え?」
唐突に言われてキラは驚く。
フォローするようにクルーゼが付け加えた。
「以前君が作ったプログラムを見て使えると思ったらしいんだ。こちらはこう見えても仕事には厳しい方でね。
かなり君を評価してくださってる。悪い話ではないとおもうよ、私はね。」
「は、はぁ。」

顔は好々爺のようだが―爺というには少し若いが―ザフトの上のひとで、仕事に厳しい。

ようには見えないけど、僕に仕事をくれる・・・?

どこの会社にも入らずにフリーとして仕事が出来ればいいと思っていたキラには渡りに船の話だ。
もともとプログラムを売り込もうと思っていたので手間が省けるといえば省ける。
一気に夢がかなうかもしれない。

クルーゼ教授の知り合いだし、そんなに悪い人ではないと思うけど・・・。

「・・・とりあえず話を聞かせてください。えぇと。」
「パトリックおじさんだ。」
「・・・・。」
「ヤマト君言ったほうが早いとおもうがね。」
クルーゼに薦められれ、意を決して言った。
「パトリ・・ック・・・おじさま。」
「よろしく頼む。」

そういって”パトリックおじさん”は手を差し出した。
キラはその手を握り返した。



パトとキラの出会い編。
娘に欲しいとこのころから画策中(笑)
あしながおじさんと某小説の天才変態おじさん足した感じです。


2008.3.19