「恋―ラクス―」



『それでねそれでね!!』
「えぇ聞いてますわキラ。」

電話先のキラは興奮で何度も同じ話を繰り返す。

ことの始まりは10分前。
キラから今から電話をしていいかとメールが入ったことから始まる。

「どうしましたのキラ?」

ラクスの休みでもない限りキラは電話をしたいなど言っては来ないのでラクスは自分からかけた。

『ラクス!大丈夫なら僕からかけたのに!』
「いえそんなことは気になさらないで。それでどうしました?」
『・・・今大丈夫?』
たっぷりためらってキラは尋ねた。もちろんラクスは即答で
「大丈夫ですわ。」
と答えた。

『実はアスランからご飯もらちゃったんだ!!』

語尾にハートマークでもついていそうなキラの声にラクスは愕然とした。
キラの声音ではなく・・・

「アスラン・・・とおっしゃいました?」
「うん。」
「・・・・なぜ?」
そんなことに…。
知らない間で何が起こっているのか。

名前呼び、ご飯、二人の仲が確実に進展している事実にラクスは焦る。

『えと、ほらホワイトデーの時にアスランに、ね、ご飯作ったのあげようかっていわれて。ほら僕が不規則だから心配してくれたみたいで』

心配なら私がいくらでもしますのに!!
なぜアスランにさせるのか・・・!

「そうですか・・・・。」
『ラクス?』
力なく答えたラクスの声にキラは心配そうに名前をよんだ。

こんなにもキラは私を気遣ってくれるのに。
絶対にそれ以上にはなることはないのだ。

「あぁいえ良かったですわねキラ。何をもらいましたの?」
『え〜と』

楽しそうに話すキラの話をぼんやりと聞きながらラクスは泣きそうになるのをこらえた。
何よりも大事で幸せになって欲しい、幸せにしたいキラは絶対手に入らないのだと思った。

知ってはいたけれどでも誰かのものになるわけでもなかったからそれで十分だった。

でもキラは見つけた。
相手の物になりたいと思う相手を。
キラは見つかった。
キラの物になりたいと思う相手に。

それが同属嫌悪していたアスランだと知ってラクスは苛立った。
自分の物にならないのに自分と似た者の物になるのかと…。
悔しくて腹が立った。

キラは優しくて純粋で本当にやわらかい雰囲気で。
少し天然で、でもそこが魅力的で。
少し自分をおろそかにするところがあって、だから目が放せなくて。
いつも大切に守ってきた。

でもそれももう自分がすることではないのだ。

自分にないものに憧憬した恋に似た感情に終止符を打つ。
これが今なのかもしれない。

でもまだすこし想っていてもいいだろうか。
だから少しは許されるだろうか・・・。

「キラ、話を折ってすみません。」
『なに〜?』
キラは相変わらず上機嫌だ。
思わず電話先のキラの顔を思い浮かべてラクスも自然微笑む。

「クラインの仕事を引き受けて欲しいんですの。」
近々打診しようと思っていたことだ。

だから少しは許されるだろうかこれくらいの意地悪は。






キララクじゃなくてラクキラっぽいですがラクスは恋情ではなくひたすらキラという存在に惹かれていただけでどうこう先に進みたいわけではない・・・。
つもりで書いてます。
少しでも百合が苦手な人はすみません。


時間軸としては・・・リンク切ったものの直前ですかね。(上げる予定は未定。未完なもので;)




2008.3.17