恋8 街中ではクリスマスソングが流れている。 なぜか大抵が悲しい歌で、それでもクリスマスは盛り上がる。 「クリスマス前に別れるからかな?」 歌を聞きながらとりあえずその危機が自分に及ばないことにホッとした。 人は悪いが…。 キラは街に出てクリスマスプレゼントを物色していた。 毎年もらうのでイザークたちの分。 親友のラクス。 姉のカガリ。 そして恋人のアスラン。 「ど〜しようかなぁ。」 イザークたちには毎年恒例のネクタイ。 いくらあっても邪魔じゃないということなのでよく着るスーツの色を聞いてから確実に選んだ。 ラクスにはアトマイザー。 香水集めが趣味な彼女に小分けで携帯できる細目の細工の細かい物を。 カガリには万年筆を。 仕事でよく使うらしいのだが筆圧が高いのか使用頻度に比例して壊れるらしい。 「う〜ん。」 ウィンドウショッピングをしながら何かいい物がないか探す。 時計は持ってたし。 コートとかジャケットとかもね…。 趣味違ったら困るし。 靴…。あぁサイズわかんないや。 あまりのだめっぷりにキラは落ち込む。 「こまったなぁ。」 もういっそ聞いた方が早かったような気がする。 「誕生日のプレゼントも入ってるし…。」 キラは上の空で歩きながら盛大にため息をついた。 「これください。」 アスランはショーケースの中のものを指指す。 「プレゼント用でしょうか?」 「はい。」 クリスマス近くに買うといったら大抵がプレゼントだと思うのだがそれでも律儀に聞いてくる店員に笑った。 それを見た店員が頬を赤らめるがそんな物はアスランの目には入っていなかった。 ただそれをキラが気に入ってくれるかどうかだけがアスランの脳内を占めていた。 「ありがとうございました〜。」 きれいに包まれて渡された物を眺めながらアスランは落ち着かなくなる。 渡して嫌がられることないと思うが、キラのことなのでかなり慌てると思う。 とりあえず、僕がもらっていいの?とは聞きそうだ。 そんなキラの様子が思い浮かんでアスランは思わず頬を緩めた。 クリスマスディナーのレストランの予約。 その後のホテルや見て回るところのプランなどはもう済んでいる。 クリスマスの計画はとりあえずこのプレゼントを買って終了だ。 「キラ・・喜んでくれるかな?」 初めてのクリスマスに不安ながらも嬉しそうに呟いた。 ピンポーン。 アスランはクリスマス当日キラの家のインターフォンを鳴らす。 今年のクリスマスは休日だったがキラに用事があるとかで六時に迎えだ。 「ちょっとまってて!」 「アスランもう少しお待ちくださいな。」 そこから聞こえた声はキラと・・・ 「ラクス!?」 何で、またなんで・・・? アスランがしばらく悩んでいると扉が開いた。 「ほらキラ。」 「う、うん。」 「キラ?」 なかなか出てこないキラにアスランは訝しげる。 「ごめんね?アスラン待たせちゃって。」 「いやそれは構わないが…。何かあったのか?」 「あ、ううん、なんでもないの!!」 慌てるキラにアスランはさらに首を傾げる。 それでもキラの姿を見るとかわいいなぁと思わずこぼした。 中までは見えないがファーの付いた白いコートが良く似合っていた。 キラはその呟きが聞こえたのか恥ずかしそうに俯く。 「それではキラ、私は帰りますわね。」 「あ!ありがとうラクス!」 どういたしましてとにっこり笑うとアスランに視線を移す。 「なにかあったら…覚悟していてくださいな。」 笑みはそのままでキラには聞こえない程度の音量でなおかつ低い。 「なにがあったってあなたがどうこうできるものでもないでしょう?」 アスランの笑みは引きつっていたがとりあえず返すことだけは出来た。 ラクスはおもしろそうに目を瞠って笑うと迎えの車に戻って行った。 「かわいいねその格好。ラクスがしたの?」 「う、うん。コートはイザークたちからのクリスマスプレゼントだって。」 「へぇ〜。」 他の男からのプレゼントなど着て欲しくないが、自分が出会うより前の恒例なのだろうから言っても仕方がないのかも知れない。 今度は自分も服を贈ろうと決心する。 「じゃぁ行こうか?」 「うん!」 アスランが差し出した腕をキラは慣れたように取った。 「おいしかった〜!!」 最後に出されたクリスマス仕様のデザートを食べ終わりキラは満足げに笑った。 「よかった。」 それを見てアスランもつられて笑う。 うっわぁ。 以前よりも見る回数は多いとはいえキラはアスランの笑顔にいまだに慣れない。 思わず俯くと髪が揺れてアスランからは少しうなじが見える。 まずい…。 と思いながらアスランは目を離せずにいた。 白いコートを脱いだ下にはノースリーブのきれいなボディーラインを描くおとなしめのドレス。 ピンクから紫の淡いグラデーションがキラに良く似合っていた。 実はラクスかららしく、完全に着せ替え人形であることが見て取れた。 アクセサリーも用意されていたらしいがキラが遠慮したらしい。 その首には誕生日に渡したネックレスが付けられている。 もらってほんとに嬉しかったからというキラの姿は可愛すぎてどうにかしてしまいそうだった。 かといって見すぎだ俺…。 さすがに変な気分になるのはあれなので他の事を切り出す。 「キラ、クリスマスプレゼントが・・。」 「あ、えとアスランクリスマスプレゼントがあるんだけど…。」 思わず同時に言ってお互い顔を見合わせる。 「じゃ、じゃあキラから。」 「う、うん。」 そういって紙袋から箱を二つ出す。 「二つ?」 「誕生日の分もあるから。」 そういってキラは恥ずかしそうにアスランに差し出す。 「趣味合わなかったらごめんね?」 差し出された箱を二つとも慎重に開ける。 「マフラーと手袋?」 濃紺の細い白のストライプのマフラーと革が使われた黒の手袋。 「通勤の時着てる黒のコートと合うかなって思って選んでみたの。」 趣味が合うようにか誰にでも使えるようなものを選んでくるところが可愛かった。 それでも質のいいものを選んでくるところはさすがだ。 「ありがとう。」 そういってアスランは出したときと同じように慎重にしまった。 「じゃ、俺から。」 はい。と差し出されるのは小さな箱。 「え?」 良く見る形にキラは戸惑った。 「開けてみて?」 「う、うん。」 ドキドキしながらキラはそっと箱を開ける。 それは予想にたがわぬ物。 「いいの?」 キラはアスランと箱を交互に見ながら言う。 これもまたアスランの予想通りの言葉で笑った。 「キラに着けてて欲しいんだ。」 そういって箱から取り出す。 ピンクゴールドのダイヤモンドの指輪。 「着けていい?」 「え…!」 「受け取ってくれない?」 「ううん!」 意地悪く尋ねるとキラは全力で首を横に振る。 「じゃぁ手、だして」 そういいつつキラの左手を取る。 「は、恥ずかしい…。」 キラは取られた手に指輪がはめられていくのをみて呟いた。 「良く似合ってる。良かった。」 「え?」 「一応指輪買うなんて初めてだからね。俺も緊張した。」 苦笑い気味に言うアスランが可愛くてキラは思わず笑ってしまう。 アスランも自分と同じように初めてのクリスマスに緊張していたのかと思うとほっとした。 「ありがとう。うれしいアスラン。」 だから簡単に行動に移せた。 「大好き。」 そういって身を乗り出すと軽く唇に触れる。 「〜っ!」 アスランが突然のことに顔を真っ赤にした。 それがおもしろくて、でも少し恥ずかしくてキラは顔を赤らめながらやっちゃったと笑う。 笑われたのが恥ずかしくてアスランはごまかすように低く呟く。 「キラ、覚悟してろよ?」 「な、なにいってるの!!」 これからの時間を指されてキラは慌てて顔を赤らめた。 つまらない展開ですみません。 その後の時間とか書けば良いんでしょうが…。ちょっと自信が。 ほ、ほのめかすぐらい書いたほうがよかった? 感想・意見お待ちしてます。 2007/12/16(←ギリギリ間に合わなかった)書下ろし 間違っていた物を上げていてすみません!! あぁ恥さらし むしろこの内容が恥ずかしいんですけどね…。 報告ほんとうにありがとうございました!! 2007/12/27 |