恋9 年末差し迫るころのアスランの部屋で、二人でソファーに座りながらテレビを見るともなしに眺める。 マグカップを持つキラの左手にはダイヤモンドが光る。 「キラはお正月どうするの?」 アスランはテレビを見ながら聞いた。 実は前々から気なってはいたが、なかなか聞くタイミングをのがしていた。 「実家に帰るよ?家族は皆あっちに居るし。」 実家にかえるのか…。 予想していたが残念な答えに生返事でこたえる。 「・・・あぁそうなんだ。遠いの?」 「う〜ん電車とバスで2時間かな。」 「微妙な距離だな。」 「アスランは?」 「俺は地元もこっちだから、二日に顔を見せに行って終わりかな。三日に何かあるらしいから一応泊まるけど。」 「元旦には戻らないんだ?」 「前日まで両親とも旅行で海外だからな、元旦に居ると邪魔者扱いだよ。」 「そっかぁ。」 アスランはこっちに居るのか…。 キラはマグカップに口をつけながら考える。 「キラはいつこっちに帰ってくるんだ?」 「お姉ちゃんが仕事始まりが7日からだからそれまでは戻ってこれないだろうなぁ。なんか重要なことがあるとかいってたし。」 「そうなんだ。」 7日まで戻ってこないって・・・。 絶望的なキラの言葉にアスランの返事は相槌程度になっていく。 「アスランの仕事は?」 「あぁ、キラのお姉さんと同じ7日だよ。」 「大体企業は同じだよね〜・・・。」 ならなんとかなるかな…。仕事とか言えばいいんだし。 本当は三が日がいいんだけど…。それはアスランも無理っぽいしなぁ。 「ねぇアスラン?」 何処となく意気消沈しているようなアスランにキラは声をかける。 「ん?」 「三が日過ぎてもさ何日かまでなら松の内っていってさ正月じゃない?」 「あぁそういうみたいだな。」 「だからさ…。」 「うん。」 何を言いたいのか図りかねているアスランはキラの続きを待つ。 しかしキラはなかなかいいださない。 あぁこれぐらいどうってことないことなのに!! 自分からしたいことを口に出すのことがあまりないキラは口篭る。 「えと、だからね。」 「あぁ。」 「は、初詣いかない?」 「え?」 それから続かないアスランにキラは思わず顔を背けた。 アスランが驚いてる!!ぼくやっぱりはずした!? ど、どうすれば・・・。 とまった空気にびくつくキラ。 そこでようやっとアスランは口を開いた。 「・・・・でも7日まで帰ってこれないんじゃ?」 「う、うん!でも絶対帰って来れないわけじゃないから!仕事とか言えば大丈夫だとおもうの。お父さんたちは大丈夫だし。」 「そうか…。」 「や、やっぱり遅い初詣とかいやだよね!!うん、ごめん!ただ、言ってみただけだから!!。」 「え!?」 「もう気にしないでアスラン!」 キラは顔を赤らめながら手を振って矢継ぎ早に言う。 あ〜もー信じられない。 しくじった自分になきそうになる。 熱くなった頬に手を当てた。 「ぷっ。」 「え?」 「はっはは。」 「アスラン・・・?」 いきなり笑い出したアスランにキラは首を傾げる。 「い、いやごめんキラ。キラが早口に否定するから…。」 「だ、だって!」 アスランが何も言わないからだ。 それなのに笑うなんてひどい。 「ごめん。笑ったりして。」 「…。」 自分が笑ったせいですねてしまったキラを可愛いなぁと思いながらアスランは抱き締める。 「わっ!!」 キラは驚いてマグカップを落としそうなるがそれはアスランがきちんと受け取って机の上に置いた。 「初詣がしたいなぁと思ってたから、キラから言ってくれてびっくりしたんだ。」 「え?」 「7日まで帰って来れないって言うからキラは初詣とかは興味ないんだろうなぁってあきらめたからキラから言ってくれて嬉しかった。」 「…あきらめてたの?」 自分が7日まで帰って来れないといったのだが、アスランは自身の我がままを言うことすらしなかったことが悲しかった。 もちろん気を使ってくれたということは分かっている。 でも、して欲しいといわれたことを無下に断るとでも思っていたのだろうか? 「僕が絶対に譲らないって・・そう思ったの?」 「キラ?」 「僕には言うことすらしないの?」 それはつまり必要とされてないのと変らないんじゃないだろうか。 「さみしいよ。」 「キラ・・・。」 アスランはボソリと呟くキラをさらに抱き締める。 「別にそういうわけじゃなくて、行けたら行けたで嬉しいんだ。でもキラの予定を無理して変えるほどの事じゃないって思ったから。」 「…僕に気をつかってくれるのはうれしいけど、わがまま言ってくれたほうがもっと嬉しいよ。出来るだけかなえたいって思うし。」 もっと我がままを言って欲しいのはこっちのほうなんだけど…。 と思いながらアスランは「分かった。」と笑いながら答える。 「じゃぁキラ?」 「ん?」 「遅くなってもいいので俺と初詣に行きませんか?」 くっつくぐらい顔を近づけてささやく。 キラは瞬く間に顔を赤らめた。 「・・・。」 「キラ?」 「うん。嬉しい。僕も行きたかったんだ。」 アスランと二人で。 そう囁き返すとアスランの近づく気配に目を閉じた。 こんな話になる予定じゃ・・・・。 もっと軽い物になるはずだったのに。 といか初詣ぐらいでなんなんだこのカップルは!って読み返すとおもいました。 ↑sss時 なんだかいつもキス終わりで進歩ないですが、すみません・・・。 2008/3/16 |