「箱庭〜ミニチュアガーデン〜　vｅr　Ｋ」 欲しいものなど手に入れたらただのガラクタになる。 「アスラン」 「キラ？」 忙しない艦内。 久しぶりに会った思い人。 「もう上がり？」 キラは嬉しそうに話しかける。 アスランもどこと無く嬉しそうに笑ってくれるからさらにいい気分になった。 「そう、キラも？」 「うん。一緒に部屋に戻ろうよ。」 「あぁ」 二人は並んで歩き出した。 今日は何をしたとか、ここの状況は危ないとか。 あそこはああしたほうがいいんじゃないか、とか。 話の内容は始終今の情勢の話だ。 久しぶりに会ったのに、そんな話がしたいんじゃないのに。 もっと違う話が…。 先ほどの気分が打って変って暗いものになっていく。 自然キラはアスランの軍服の袖を引っ張った。 「キラ？」 「あっごめん！話し遮ったよね。」 無意識にキラが興したことにアスランは一瞬驚いたがすぐに微笑む。 しょうがないなと言うように。 空回る不器用さもアスランはほほえみで返してくれる。 それが嬉しいでもそれだけじゃ嫌だ。 キラは顔をゆがめて俯く。 アスランが欲しい。 僕だけの物にしたい。 でも手に入れようとしてこの関係が壊れたら？ アスランから忘れられてゴミと化してしまったら？ 怖くて僕は幼馴染・親友という殻を作る それを集めて組み立てるほど不安ばかりが募る。 僕のすべてを許してくれるアスラン。 でも僕が殻に閉じこもるほど探してた答えは遠くなる。 否、カガリと別れたってその答えなどもうどこにもないかも知れない。 「キラ？疲れてるのか？」 急にだまってうつむいたキラを訝しんだのかアスランが覗き込む。 「だいじょ・・うぶ。」 「だったらキラは泣いてないと思うぞ？」 「え・・・・。」 「なにがあった？」 アスランが怪訝そうに尋ねる。 アスランとの距離に寂しさを感じて泣いているなんていえない。 「ただ…。なんかいろん・・な物がごちゃごちゃ…になっちゃって。それ・・・で。」 きっとアスランは気づかないだろうし…。 だからそれとなく本当のことを言う。 「大丈夫だ…。」 「っ・・ア…スッ？」 アスランに抱きしめられてる。 そう認識するまでに時間がかかった。 アスランは親友で幼馴染として僕を安心させるために抱きしめてるんだ…。 わかってはいてもキラの胸は高鳴った。 欲し続けたぬくもりが今与えられている。 今だけ僕はこのぬくもりを独占してもいいのだろうか？ 「ねぇアスラン・・・・。」 「なんだ？」 いまだ抱きしめているためキラの声は少し篭っている。 「好き。」 「え？」 「大好き。」 誰よりも。 そういってキラはアスランに口付けた。 一瞬の口付けのつもりだった。 掠めるくらいの。 でもなんでかアスランに仕掛けられて舌まで入れられてる。 「俺もだ。」 「っ・・・んっ」 今なんて？アスランは今…？ 「はぁっ・・・。」 長いキスがやっと終わってキラの頭の中はパニックになっていた。 腰に力が入らなくなっていてキラはアスランに支えられるように部屋に戻った。 「ねぇキラ、続きしてもいい？」 「うん。」 いきなりの展開続きでキラはいまだ状況が整理できていなかった。 けれどアスランの本心がどうであれキラはアスランが手に入ることが嬉しかった。 「愛してるよキラ…。」 そう囁かれて、キスをされるとキラはもう力が入らなかった。 嘘でもいい。 だから嘘を吐いてこのまま騙していて。 髪を撫でる指の先からぬくもりを、いとしさを感じる。 服を脱ぐ生まれたばかりの僕の姿はただ小さく無防備で。 永遠とは何かと感じさせて。 頬を寄せて吐息をあわせて。 築き上げた過去を捨てて、もし君と始まることになってもかまわないと今なら強く言える。 「アッ…ス・・・もう、だぁめっ」 「キラッ…。」 もういいや。 アスランが僕にくれたこれだけで。 もう十分なんだ。 君を少しでも手に入れられて僕はもう十分なんだ。 後は僕に君をくれた君に世界を返したい。 生き急ぐ足音も僕はほほえむから。 嘘を吐いてこのまま騙していく。 頬を撫でる指の先から。 繋いで　　君と僕を。 許して　そして柔らかく抱いて。 許して　許して　コロシテ。 扉を開け手に入れたすべてを置いて出て行こう 天野月子「箱庭〜ミニチュアガーデン〜」 月子さんはいつもキラの片思いなんですけどこれは書いていったらアスランに抱かれてしまいました。（何でだ） でもキラは死にたがりなので与えられたすべてを置いて戦いに行きます。 そんな話。 やっぱり良く分からない感じですみません。 歌詞抜いたほうがいいのかな…。 ２００７/５/２　ＳＳＳより移動・改稿