S. O. L. 3


「優しいですね。」
「・・・。」

早々と朝食を取り終わったのかシンがノックもなしに部屋に入ってくる。
相変わらず護衛のというか従者の取る態度ではないがキラはその気安さが気に入っていた。

それが仇になることだってある―…。

それは十分承知しているが犠牲を平然と見送れるようでないと主人は務まらないとキラは思う。
なによりその覚悟がなければ上に立つ資格がない。

アスランとラクスはある意味僕らよりも絆が深いかもしれない。

それもラクスよりもアスランの方が無意識下でラクスを頼りにしているところがある。
ラクスに何かあれば国を支えるのがアスランの役目だ。
それが支えるどころか一緒に倒れかねない。

それじゃ意味がない。

エターナルにはなんとしてでも女王を立ててもらわなくてはならない。
それだけでなくその治世ができるだけいい方向で長く続いてもらわなくては。

カガリのためにも・・・・。


「食後寝たら太りますよ。」
「…僕にもっと太れといってる人間のセリフじゃないね。」
「眉間・・皺よってます。」
似合いませんよと眉間を指しながらシンが言った。

「優しいからね…。」

にっこりわらっていうと今度はシンが眉間を寄せた。
シンは口を開きかけたが、勢い良く扉を開けて入ってきたステラに抱きつかれて、そのままうやむやになってしまった。




どういうことだ…?
王子は何が言いたかったんだ・・・。
それに・・あのステラとのやり取り、あれは一体…。


「アスラン?」
「えっ?」

ラクスに呼ばれアスランは我に帰る。

先ほど言われた言葉。
それにラスクの微笑み―…。

考えすぎてラクスが食事を終えたのに気づかなかったらしい。

「何か考え事でも?」
「いえ・・・。」
ラクスは小さく笑った。
「貴方は考えすぎると無表情になりますから、それも癖のような物ですわね。」
「無表情・・・。」

それはむしろ分かりやすいのではないか。
見破られている癖をごまかすようにアスランは話題を変える。

「ラクス様、今日の予定は語学と帝王学・・・・。」
「アスラン。」

しかしそれはラクスによって阻まれた。

「今日は午後から街に行きましょう。」

急ぎの用事は特になかったでしょう?にこりと笑いながら言われてもアスランはそれによしとは言えない。
それがアスランの立場だ。
何よりもラクスの身の安全、健やかな生活を維持することが。

「ラクス様。わがままもいい加減にっ・・・」
「キラに言われたことの意味、知りたくはありませんか?」
「っ。」

まさに考えていたことを言われてアスランは言葉をなくす。
しかし、自分のことでラクスに危険を冒すようなことをさせたくない。
だが・・・。

「アスラン?」
促すようにラクスが呼ぶ。
「きょ・・うだけ・・です。」

声を震わしながら呟くとラクスは目を輝かせて「はい。」と応えた。



久しぶりの更新がこれですみません。
しかしなかなか進まない…。

2008/9/24  改稿