「スパイダー」



君は僕を選ばないのにどうして僕は君を選ぶんだろう。
まるで透明な鎖につながれているみたいだ。

「カガリ!」
アスランが前を行くカガリを呼び止める。
いつの間にか仲良くなってたみたいだ。
笑顔はどことなくいつもと違うように感じる。

何でそんな顔でカガリの方に行くの?
隣に僕がいるのに。
今僕と話してたじゃないか。

「アスラン」
僕は呼び止める。効果が無いのは分かってる。
でも、嫌なんだ。
君が僕以外の名前をその声で呼ぶことが。
君が僕以外を選ぶことが。

「ごめんキラ。ちょっとカガリに用事があるんだ」
君が申し訳なさそうに言うから僕は譲らざるを得ない。
でもまだ大丈夫君をつなぐ武器なら持ってる。

「僕も話があるから、カガリとの話終わったら、部屋に来てくれる?」
親友の顔をして上目遣いにお願い事をするように。
君が弱いことは知ってる。
「あぁわかった。」
そういって君は走っていく。

僕は君が一番好きなのに。
君は僕に親友であって欲しいんだ。
君の望む僕でありたいのに。
そうはなれない。

なりたくない。





「もし地球が割れて、君と二人で取り残されたらどうする?」
聞いてみても君は僕の望む答えはくれないんだろう。
僕が君の望む僕でないように。

「何の話?」
「たとえ話。…ねぇどうする?」
答えなんて分かってるのに嘘が欲しい。
どこまでも僕を騙してくれる嘘。

「多分今と変わらないと思うよ?俺が泣いてるキラを慰めてるなきっと。」
「アスランだって泣きたいのに?」
「…まぁでも、キラが泣いてくれるだろう?」
当たり前のよう笑って言うから錯覚してしまう。

キミハボクガスキナンジャナイカ…。

「そこが僕たちの宇宙になればいいのに」
聞こえない声でつぶやいく。
「え?」
「なんでもない」
泣きそうな顔を見られないようにアスランの胸に飛び込む。

親友のように。
僕の心だけは隠して。

「キラ?」
「なんでもない」

僕がきつく抱きつくとアスランは困ったようにため息をついてやさしく抱き返してくれる。

親友を慰める抱擁。
僕の求める物ではないけど。
いまがこのまま続けばいい。

けれど今が永遠でいれないならせめて君の腕の中で終わりたい。


















天野月子「スパイダー」が元ネタです。
短め。
歌の歌詞を使うと常に短いです。
なんだろう。歌詞にもう意味があるからかな?


直してみても意味不明さは変りませんでした。(大して直してもないが)
2006.6.18改稿