「とらわれ」


 天井が上に見える。
 手に持っていたものが中に舞う。


 やってしまった―…!!

 こけながら思ってももう後の祭り。
 持っていたイチゴミルクが転んだ先にあった荷物に見事にかかった。


 「・・・・・。」
 「・・・・・。」

 ぶちまけた先を呆然と見詰める。
 相手もぼうっと紙袋を見ている。


 信じらんない、信じらんない!!


 キラは自分の間抜けさをのろった。
 こけるまではいい。たとえそこに何も無くても。
 イチゴミルクをこぼすのはいい。そこに何も無ければ。
 

 それが何であのアスラン・ザラに!!


 同じクラスの隣の席だがやけに冷めてて周りからは浮いている。
 というか”怖がられ”ている。
 彼自身が何かしたというわけではない。
 それでもうわさでは所謂”悪いやつら”と繋がっていて麻薬の売人だとか
 ヤンキーの頭だとか言われていて彼もそれを否定も肯定もしていない。
 その微妙さがまた怖かった。

 どーしよー!!!

 後ろではカガリやフレイが何やってるんだといっているみたいだがそれも遠くに聞こえる。

 「ご、ごめんなさい!!」

 キラはとにかく謝った。

 「な、中身何かな・・・?駄目だったら僕・・・。」
 「・・・もの。」
 「え?」
 「着物・・・。」

 ぶちまけた紙袋から出てきたのは鮮やかな色の”着物”だった。


 うそだろ〜!!


 着物=高いイメージのキラはびびった。

 「え、えとそれどれ位の・・・。」
 「古着だけどそれなりに質のいいものだから・・・。ウン十万。」
 「えぇ〜!!」
 「責任とってもらおうか?」

 ニヤリと光を背にして笑う。
 そう笑ったアスラン・ザラの顔が最高に怖くてキラはなきそうになった。


 そうしてキラ・ヤマトはアスラン・ザラにとらわれた―…。


サカモトさんの「とらわれごっこ」のWパロ。