「つきやよし」




「とりあえず毎日送れ」

と言われたから一言毎日送っている。
送らないと彼は心配で毎日ここまで来てしまいそうだから。
さてと
「今日は何て送ろうか」

生きてる。とか今日は雨とか晴れ。とかラクスがどーのこーの。とかいい加減送る内容も尽きてきた。

何か書くものがことがないかと周りを見渡す。
ふと、目に入る。夜空に浮かんだもの。

「あぁ月だ」
きれいだなぁと思わずつぶやく。

いい思い出しかない月。幸せだった時間の象徴。思い出すのは君との思い出ばかり。

オーブの中心にいるカガリの護衛をしている彼は今カガリと一緒にお忍びでプラントだ。
この月を見ることは無い。だからあえて
「これにしようか」
そういって目の前のキーボードに打ち出す。



キラからいつものメールが来た。
精神的に危うくなってから毎日が心配だったから「とりあえず毎日送れ」といって送らせている。
いつも一言。とりあえずにもほどがあるが最低限心配させないようにとキラがわかって送っているのだからこれで我慢するしかない。
それでもキラのことだから全く関係ないことは送ってこない。
だから一言でもそれなりの情報は引き出せる。
そして今日は・・・

「月がきれいだよ?」

久々に来た。「意味の分からない物」もともと突拍子も無い幼馴染の発言には免疫があるのだが・・・。
それに今俺がプラントに来ていることは知っているから月は見れないと分かっているはずなのに・・・。
自分の感想を送ってきたのだろうか・・・?

散々迷っていつものように返事を返す。



『「誘ってる?」』


キラはアスランからの返事を見て思わず声を出して読み上げてしまった。
びっくりしつつも頭を抱えながら続きを読む。

月がきれいだから一緒に見ようってお誘いかと思った。

・・・・ばれてる。
そこまでばれるとは思わなかった。たったあんなひとことだったのに。
というかそれはアスランの願望も含まれてるんじゃない?
とキラは思ったが返事は返さない。
アスランはいつも返事を返してくるけれどキラはそれに対して返事を返したことは無かった。

ただ今日は月を眺めて満足そうに笑う。

月がきれいだと告げるのは誘ってるみたいだけど、そうじゃない。
だけど君が来るのを待ってないわけじゃない。


だから早く帰ってきて。






授業中思いついたネタです。確か和歌の成立の時にやったやつです。
使えると思って覚えておきました。
同じような内容の桜の歌もあったんですが、月の方がアスキラっぽいかなぁ〜と。
てかこれがSEED初テキストか…。

2005.2.14