「恋―キラ誕生日―」






「今年は何で行くか」
大の大人三人が集まってひそひそと顔を近づけて話し合っている。

「ワンピース。」
「却下。去年それだったでしょう。」
「スーツ。」
「着ていく機会があまり無いからな…。」
「貴金属」
「妥当なところだと思いますけど高いと分かった瞬間つけてくれない気がします。」
「…だったらおまえらもなんか案だせよ。」
ディアッカが疲れたというように椅子の背もたれにもたれかかると軽く伸びをする。

「なんの話し合いだ…。」

仕事をサボって自分の近くにわざわざ陣取り、話をしている三人にアスランは冷たい目線を送る。

「何ってキラへのホワイトデーの話。」
「…ちょっと待て二ヶ月も前じゃないか。」
渡していないのか?と問いただす口調でアスランが言うとイザークが馬鹿にしたように小さく笑う。
「ふん。キラへのホワイトデーは毎年5月のキラの誕生日と合わせて贈ることになっている。」
「3月5月と近いので遠慮して受け取ってくれないんです。」
「そ、だから誕生日プレゼントを大奮発ってわけ。」
当然のように三人に言われるとアスランはたじろぐ。
「アスランも当然出すでしょう?」
「あ、あぁ。」

「ホワイトデーにお返しをしてても。」

「え?」

ニコルに言われて思わず固まった。

「やだなぁアスラン。ばれてないとでも思ったんですか?」
ニコルが一見人のよさそうな笑みを浮かべる。
実態は真反対だが。
「キラが楽しみにしていたからな。」
「わざと妨害しなかったんだぜ。」
ニコルに続けてイザークとディアッカが言う。
「ラクスとは筒抜けなんですよ。」
駄目押しのようにニコルがいうとアスランは何も言えず呆然と立ち尽くした。

キラへの思いがばれていたこと。
ホワイトデーに会っていたこと。

何に一番驚くべきか分からなかった。

なんでこんなことに。思わず頭を抱えたくなるがこの三人の前でするのだけは嫌だった。
とりあえずキラの誕生日が分かっただけでもよしとしよう。
これで自分がどう行動すればいいのか分かったのだから。

これ以上いいチャンスなんてない。

「で、結局アスランは何がいいと思います?」
「あ、あぁ。…考えておく。」
「明日までにはお願いしますよ。」
そういってニコルはイザークたちと話し始める。
その横でアスランはパソコンに向かいながらなにやら考えこんでいた。





ピンポーン
ドアフォンがなる。

誰だろ…?

キラは時計を見ながら時間を確認する。
11時すこし過ぎたころだ。

ラクス達なら来る前に連絡をくれるだろうし…。

少し訝しげながらキラはドアスコープから覗き込んで目を瞠った。

「アスラン!?」

慌ててドアを開けるとアスランが「今良いか」と聞いてきた。

「大丈夫だけど…。」
「すぐ済むから。」
「いや、それはいいんだけど。えーと…あがる?」
「え?」

キラは時間を気にしたのではなく家に上げるかどうかを気にしていた。
こんな時間帯に一応女一人の家に上げるのもまずいかと思うし、かといってこの時間マンションの共有スペースに居るのもあれだ。

まぁアスランだし。

まじめなアスランの性格を分かっているため結構気軽に言ったのだがそれにはアスランが思った以上に気にしたらしい。


「だって廊下は一応共有スペースじゃない?」
「あぁ。」
アスランも思い当たったのかうなずいた。
「じゃぁ玄関で」
「え、あ。うん。」
微妙な提案になんだかなぁと思わないでもなかったが隣人とはいえアスランも夜の女一人の部屋に上がることを気にしたということだろう。
玄関まで入ってきて後ろ手でドアを閉めた。

「キラ、18日誕生日なんだって?」
「え?あ、みんなから聞いた?」
「それで、フライングだけど…。」
そういってキラの目の前に小さな花束を差し出した。
キラはそれを受け取ろうと手を出す。

「あり・・」
「好きです。」

差し出された直後に言われた言葉を聞いてキラは固まった。
手が花束を受け取ろうとして微妙な位置で止まっている。
脳が行動よりも思考を優先したのだ。

スキデス…。
スキ。
デス。

スキデ。
ス。

何がなにやら良く分からない。
音は聞き取れているが意味が脳までちっとも回ってこなかった。
ただ音の羅列が混乱を招くだけだ。
その混乱を見て取ったアスランが畳み掛けるように言う。

「好きです。付き合ってもらえませんか?」

好きです・・・・。
アスランが僕のことを?
付き合うって・・つまり・・・そういう。

「はぁ?」
「…キラ。」

理解できたとたん思わず素っ頓狂な声を上げたキラにアスランは苦笑いする。

「え、ええ・・で、でもっ。」

徐々にキラの顔が赤くなっていく。
それに気を良くしたアスランが笑いながら聞く。

「答えがほしいんだけど…。」
「・・・・。・・・んで。」
「?」

俯きながら言った言葉は届かなかったのかキラは大きな声で言った。

「はい!喜んで!!」

とたんキラはアスランに抱きしめられた。
はじめはなにが起こったのかわからなかったがアスランに抱きしめられていると分かると心臓はうるさいほど鳴り出した。

う、うわぁ…ど、どうしよう!!!

「ありがとうキラ。」
耳元で言われてキラはさらに落ち着かない。
でもこれだけは言わないといけないと思った。

低血圧で朝が弱いくせにアスランにあわせてゴミの日に起きたり。
間違ってきたお届け物をわざわざ直接渡したり。
そんな引きこもりがちな恋。

ずっと、ずっと秘めていた思いなのだから。

「ぼくもアスランのことが好きです。」

キラはアスランをみてはっきりといった。
それにアスランは本当に嬉しそうに笑った。
それだけでもう十分に満足だった。
キラもつられて笑うと、もう一度「ありがとう」といわれてアスランが近づいてきた。
キスするんだなと思ってキラも自然と目を閉じる。
与えられたぬくもりにくらくらした。

これが幸せって言うのかなぁ。

キラは考えるともなしに思った。









ここで、切ります。(もうこれ以上だらだらやってられなかったです。)
もうちょっと締めをうまく書けるようになりたいです。
というか祝ってるのか…。最後アスランだけ役得じゃん!!
すみませ・・。精進します。

いきなり二人がくっついたようになってますが一応それなりの関わりあいがあって今な訳です。
流れは作ってあるんですが話は書ききれてないんです。
それがあったら多分理解いただけるとは思います。
そのうち書くので気長にお待ちくださるとうれしいです。(死)

遅くなりましたがキラ・カガリお誕生日オメデトウ!!

2007/5

ダラダラ書いた続き