何処へ行ける君の惑う手とはぐれずに






「神から切り離されたいらないものなんだ・・・・。」

神の悲しみを神の妻が切り離した。
それが悪魔に変り、妻の慈悲も与えられないまま捨てられた存在。



あぁやっぱり。


キラはアスランの告白を聞いてすべてが納得できた。
そうではないかと思っていたが確信はもてなかった。
それが確かな事実に変る。

「そっか…。」
「キラ・・?」
「なんとなく分かってたんだ。」
ちょっと不思議なところがあったし。
キラはそういって笑うと、アスランは意外なキラの反応に対応できずにいた。

受け入れられないと思ってたんだ…。
それにキラは寂しくなった。

生まれたときから必要のない存在。
信じられないくらい長い孤独。
そう思うとキラはどうしても言いたくなった。

「さみしかったよね…。」
「え?」
「寂しかったよね?アスラン。でも僕が一緒にいるから。」

何もかもを知った上で。
だから一人で嘆かないで・・・。

ごめんね。無理やり言わせて…。でも…ありがとう言ってくれて。」
無理やり言わせた後ろめたさがあるが自分に言ってくれた嬉しさが勝っていた。
キラはアスランを安心させるように微笑む。

「ずっとずっと一緒にいるから。」

絶対に伝えたい言葉。
それを聞いたアスランはこらえきれず名前を呼んだ。

「キラっ。」

アスランは強く抱きしめると押し倒した。

「んっ。」
「キラ。」
「アスラ・・・。」

何度も何度も口付けを交わしてだんだん深くなるそれにキラは何も考えられなくなっていった。
気がつかないうちにキラは部屋のベッドの上にいた。
その間もアスランはとまらない。
アスランの唇はキラも触ったことのないようなところまで暴きキラを快感で染めていく。

「もっだめ・・。」

与えられる過ぎた快感と熱にキラは腕をさまよわせる。
訳が分からなくて自分自身がどこにいるのか虚ろだ。

「大丈夫だから。」

その惑う腕を取りアスランは自身の背に回す。
確かなアスランの感覚にキラははっと息を一つ吐く。

「いくよ?」
「うっ・・ん。」
アスランも余裕が無いのか声が少しかすれている。

うわ…。そっかアスランも一緒なんだ。

キラはそんなアスランに嬉しそうに微笑んだ。
「っ!!」
同時に与えられた熱にキラは息を呑む。

あつい。

その熱は自分のなのかアスランのものなのか。
分からないままキラは目の前の存在にすがり、与えられた熱にあえいだ。








あったかい…。
安心するぬくもりにキラは目を覚ました。
寝返りを打とうとおもったが背中のほうに回された腕で動けない。

腕…?

「あぁ起きた?」
「うん、起きたけど…。」
何でか動けないんだ。

「あはよう。」

・・・・え?

「キラ?」

・・・・・……え・・・・?

「あ、ああああすらん!?」

目の前にあるアスランにキラは慌てておもわず後退るが。
「いっ!!」
とたんに腰に痛みが走る。

あ、…そ、そっか僕昨日…。

キラは顔を赤らめて俯いた。
「ごめん。」
アスランはキラが痛がる理由に気がついたのか謝る。

なんでそこで君が謝るかな…。
嬉しかったのに。気にしすぎだよ…。

キラは俯いたまま思う。

「大丈夫だから。」

気遣うアスランにキラは苦笑いしながら言った。
「でも…。」

やさしすぎるのも本当に問題だと思う。
アスランはきっとキラが自分を慰めようとしてくれただけなのにそういうことになってしまったことに罪悪感でも感じているんだろう。

君を選んだんだから分かってくれてもいいのに…。
それに…抵抗しなかったんだから…。

キラは昨日のことを思い出して少しほほを染める。
それにしてもとキラは思う。
アスランを好きなのは分かっていると思う。
キラがちょっと淡白なところを見せると不機嫌になるし。
それでも無償で与えられるとそれを完全には信じてくれないところがある。

欲しがるけどそれを与えられると一歩引いちゃうんだよね。

顔を上げる。
申し訳なさそうにしているアスランを腕の中から見上げるとキラはその濃紺の髪を梳くようになでる。

「大丈夫。ね、僕だって君が欲しかったんだ。だから嬉しかった。」

それを聞いたアスランが本当に嬉しそうな顔をするからキラは間違ってなかったと確信する。

一歩引くなら僕が一歩前に出ればいい。
何度だってアスランに近づくよ。
何があったって。

アスランの髪を掻き分けるとキラは誓うように額に口付けた。